親知らずの抜歯
親知らずの抜歯:知っておきたい基礎知識
親知らず(智歯)は、永久歯の中で一番奥に生えてくる8番目の歯です。現代人の顎は小さくなる傾向があり、親知らずが生えるための十分なスペースがないことが多いため、さまざまな問題を引き起こすことがあります。
1.親知らずの主な種類とその生え方
親知らずの生え方は人それぞれで、それが原因となる症状や抜歯の難易度に関わってきます。
| 種類 | 生え方の特徴 |
|---|---|
| 正常萌出 | まっすぐきれいに生えており、しっかりと噛み合わせに参加している。 |
| 傾斜/水平埋伏 | 前の歯に向かって斜めに傾いて生えている、または真横を向いて完全に横倒しになっている。 |
| 一部萌出 | 歯の一部だけが歯ぐきから見えている状態。 |
| 完全埋伏 | 歯が完全に顎の骨や歯ぐきの中に埋まったままで、外から見えない。 |
歯科口腔外科では、特に傾斜/水平埋伏や完全埋伏また、神経や上顎洞などに接している、難易度の高い親知らずの抜歯を専門的に行っています。
局所麻酔の他に、静脈内鎮静法や全身麻酔で安全に手術を行います。
2.親知らずが引き起こす主な症状と原因
親知らず自体に問題がなくても、その生え方や位置が原因となり、次のような症状を引き起こすことがあります。
主な症状
- 痛みと腫れ(智歯周囲炎):歯の一部が歯ぐきから出ている場合に起こりやすく、歯と歯ぐきの隙間に汚れが溜まって炎症を起こします。
- 虫歯・歯周病:斜めに生えた親知らずと手前の歯の間は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病になりやすい環境です。手前の健康な歯まで虫歯になるリスクがあります。
- 歯並びへの影響:親知らずが手前の歯を押し続けることで、歯列全体が前に押され、歯並びを悪化させる原因となることがあります。
- 顎関節症:不適切な生え方の親知らずが噛み合わせのバランスを乱し、顎の関節に負担をかけることがあります。
原因
親知らずの問題の主な原因は、顎の大きさに対して歯のサイズが大きく、親知らずが生える十分なスペースがないことです。スペース不足のため、親知らずは正常な向きで生えることができず、斜めや横向き(埋伏)になってしまい、結果として前述のような様々な症状を引き起こします。
3.親知らずの一般的な治療法
親知らずの治療法は、その状態と症状によって異なります。
① 炎症の応急処置
親知らずが腫れて痛む場合(智歯周囲炎)は、まず抗生物質や痛み止めの投与、そして患部の洗浄を行い、炎症を鎮めます。炎症が強い状態での抜歯は、麻酔が効きにくかったり、感染を広げるリスクがあるため、まずは炎症を抑えることが優先されます。
② 抜歯(外科的処置)
親知らずが以下のような状態にある場合、根本的な解決策として抜歯が選択されます。
- 痛みや腫れを繰り返す場合
- 手前の健康な歯に悪影響を与えている場合(虫歯・歯周病のリスクが高い)
- 完全に埋伏しており、将来的に嚢胞(のうほう)などの原因になりうると診断された場合
- 矯正治療を行う際に、治療計画上抜歯が必要な場合(自費になることがあります。)
特に複雑な生え方をしている親知らずや、全身的なご病気(糖尿病、骨粗鬆症、血液をサラサラにする薬の服用など)をお持ちの方の抜歯は、歯科口腔外科での専門的な対応が求められます。
茅ヶ崎徳洲会病院 歯科口腔外科について
当院の歯科口腔外科では、複雑な親知らずの抜歯をはじめ、お口の中や顎、顔面に関する外科的処置を専門的に行っています。
全身疾患をお持ちの患者さんの抜歯や、難症例への対応には、全身管理が行える病院の体制が非常に重要です。当科では、他の診療科と連携し、安全に配慮した治療計画を立てております。
親知らずに関するご不安や症状がある場合は、かかりつけ医にご相談の上、当院歯科口腔外科へご相談ください。
※初診の方は、必ずかかりつけ医からの紹介状とお薬手帳をご持参ください。
かかりつけ医と連携し、診療を行ってまいります。
※予約の方が優先となりますので、予約がない場合はお待たせいたしますことをご了承ください。来院前にお電話をいただけますと幸いです。
※急患の方はお電話をお願いいたします。緊急性があると判断した場合は、初診受付時間外でも対応いたします。






