医療コラム・レポート

医療レポートNo.2 塚本玲三名誉院長「1週間続く咳は受診の知らせ」

咳は一番身近な疾患の一つ。しかし軽視されやすい疾患でもある。冬になると増加する「長引く咳」について、茅ヶ崎徳洲会病院総合内科の塚本玲三名誉院長に話を聞いた。

塚本 玲三

塚本 玲三つかもと れいぞう名誉院長

専門 総合診療科、呼吸器科

所属学会

日本内科学会

ご挨拶

たらいまわしが当たり前であった日本の救急医療体制を改善し、卒後臨床医学教育をより充実させることを願って草創期の徳洲会に入職し、以後33年間、徳洲会および患者さんのために診療を続けてきました。私の理念は、今も昔も「良い臨床医を目指す」ことで変わりません。

日本の高齢者の死亡原因半数以上を占める肺炎。国も肺炎球菌ワクチン接種など対策に力を入れている。

一方、『治ったけど咳だけ残る』『色々試したけれどいい薬が見付からない』という悩みに思い当たる人も多いのでは。

塚本名誉院長は「咳と一口に言っても、こみ上げる咳、絡む咳など様々。市販薬で治らない時は、つまりそれほど重い疾患の可能性も」と説明する。

長引く咳の原因は、気管支炎、咳ぜんそく、百日咳、マイコプラズマ肺炎や、花粉症といったアレルギーなど多岐に渡る。塚本名誉院長は「原因があやふやなままで誤った対処をすると、症状を長引かせたり、悪化させたりすることも。悪化した際に一番怖いのが、肺癌なのです」と話す。

咳の時にアルコールはNG

また、咳に対する誤った対処法としてお酒があるという「お酒は気管支を刺激します。アルコールで消毒になるというのは誤り。寝入りを良くしても眠り自体浅くしてしまいます。暖かい牛乳や紅茶などが気管支に優しい」と塚本名誉院長は呼びかける。

緑や茶褐色の痰 肺炎の可能性も

”怖い咳”の見分け方の1つが、肺炎の可能性を示す「緑や茶褐色の汚い痰」だ。「咳は周囲に感染を広げることがあります。痰の有無に関わらず、一週間以上咳が続く際は受診を」

タウンニュース(寒川版、茅ヶ崎版) 2018.1.12号掲載