茅ヶ崎徳洲会病院

Now Loading...

診療科紹介診療科紹介

臨床検査部

簡易睡眠時無呼吸検査(SAS検査)

呼吸や血中の酸素の状態などで測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。
(当院では簡易検査のみ行っています)

AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAPの対象となります。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、その名の通り睡眠時に呼吸が止まり、それが原因で日常の生活に様々な障害を引き起こす疾患です。 SASの重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数で表し、一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度を測定し診断していきます。このAHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断され、AHIが5~15回が軽症、15~30回が中等症、30回以上が重症とされています。 SASの病態の多くは空気の通り道(気道)がふさがるまたは狭くなることによって起こる『閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下、閉塞型SAS)』です。

閉塞型SASの主な症状と原因

いびきをかく

“いびき”とは、眠っている最中に空気の通り道(気道)が狭くなり、そこに空気が通る時にのど(咽頭)が振動することによって生じる音です。つまり、気道が狭くなっているから“いびき”をかくといえます。

どうして気道が狭くなるのか・・・?

健康な人でも、仰向けで寝ると重力の影響で、舌や軟口蓋が気道を狭くします。また眠っている状態では、筋の緊張も緩んでしまいます。 1.筋力の低下(加齢)、2.舌が重い(肥満)、3.顎が後退している、扁肥大がある、軟口蓋が長い(形態的問題)といったことでも気道が狭くなったり、塞がったりしてしまいます。また4.口呼吸になっていると舌は落ち込みやすくなります。

健康な人の気道
服薬中の薬およびお手持ちのお薬手帳

眠っている時は重力の影響で、軟口蓋、舌根、咽頭蓋が下がり、気道は狭くなります。

SAS患者さんの気道閉塞
入院申込書兼誓約書以外の書類

鼻や喉に何か異常があると慢性的に気道が狭くなり、時には気道が塞がり呼吸をしにくくなります。

寝汗をかく、寝相が悪い、何度もトイレに起きる・・・

閉塞型SASの特徴は、無呼吸の間はいびきが止まり、その後あえぐような激しい呼吸や大きないびきで呼吸が再開します。あえぐような呼吸をすることが原因で、寝相が悪かったり寝汗をかいたりもします。また、夜中に何度もトイレに起きるといったこともあります。

倦怠感や頭が重い・・・

呼吸が止まっている間は、酸欠のような状態になりますので、朝起きると頭が重いといった症状が起こります。休むために睡眠をとるはずなのに、無酸素運動をしているのと同じような状況なので、全身の倦怠感や不眠に陥ることもあります。

日中の病気

SAS患者さんは、無呼吸から呼吸を再開させる度に脳が覚醒状態になるので睡眠が分断してしまいます。この脳の覚醒は、本人に起きたという自覚がありません。しかし脳の覚醒により、睡眠が浅かったり、夢を良く見るといわれるレム睡眠がこまぎれになったりします。たとえ7時間ベットに入っていても、SASが原因で睡眠が分断されていると、睡眠不足と同じ状態になります。

閉塞性SASがもたらす社会的影響

SASによって引き起こされる日中の眠気が原因で、交通事故や災害事故の危険性が高くなります。
2003年2月26日に、山陽新幹線の運転手が居眠り運転を起こす事例がありました。
その後の検査によってこの運転手がSASであることがわかり、SASに対しての注目が集まるようになりました。また、生活の質(QOL)を調査した結果をみると、SAS患者さんの軽症から中等症では「活力」が障害されており、重症ではさらに広い項目のQOLが障害されること、また本人だけでなくベッドパートナーのQOLをも障害されることが報告されています。
(※Baldwin CM,et al. Sleep2001:24:96-105、※Parish JM,et al. Chest2003:124:942-947)

閉塞性SASの合併症(もしSASを未治療で放置した場合)

閉塞性SASがもたらすリスク

慢性期のリスク
起床時の頭痛、頭重・倦怠感、集中力・記憶力の低下、日中の眠気、交通事故、生産性の低下、作業ミスによる労働災害

急性期のリスク
高血圧、糖尿病、心不全(30~40%はSASを合併しているといわれる)、 心血管障害、夜間突然死、脳梗塞、認知障害、発育不全(小児のSASでは、特に発育障害が問題となります。これは睡眠が障害されると、睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌が不足するためといわれています。呼吸が止まっていなくても、いびきをかいていることは、正常な呼吸とはいえません。)

SAS患者さんにおける高血圧は健常人の1.37倍(Neito FJ.JAMA2000;283;1829-1836)、夜間心臓突然死は健常人の2.61倍(Gami AS.N Engl J Med 2005;352;1206-1214)、脳卒中・脳梗塞は健常人の3.3倍高い(Yaggi HK et al,N Engl J Med 2005;353;2034)といわれています。
SASでは、酸欠状態になり、少ない酸素を全身にめぐらそうとして心臓や血管に負担がかかります。この状態が長い間続くと、様々な生活習慣病の合併症を引き起こす可能性があります。

閉塞型SASの疫学

一般の市民を対象とした調査では、AHI5以上+日中の眠気がある割合は、約200万人ともいわれています。(男性3.3% 女性0.5% 全体で1.7%)男性は、肥満の傾向にある40~60歳代に多く、女性は閉経後に増加していきます。
※睡眠呼吸障害Update.2002.P.2-8

検査の流れ

検査の種類

ポリソムノグラフィー(PSG検査)

専門の検査施設等に入院して診断の確定を行います。体に様々なセンサーを取り付け、睡眠の質(眠りの深さや分断の状態)の実際を評価をします。また、睡眠中に起こる異常行動や不整脈などの評価も行い、他の睡眠障害や合併症がないか診断します。

測定機器:Alice 5
測定項目

  • 脳波
  • 眼電図
  • おとがい筋電図
  • いびき
  • 腹運動
  • 体位
  • 心電図
  • 経皮的動脈血酸素飽和度
  • 脚筋電図

PSG検査は、専門の検査担当者が様々なセンサーを装着するなどがあり、また脳波という微細な信号を捕えていくため、検査に適した部屋での入院が必要になります。痛みは全くありません。センサーも眠っている間に取れてしまわないようにしっかりと取り付けます。

パルスオキシメーター

センサーを指先につけて、血液中の酸素の状態と脈拍数を測定し、睡眠中の無呼吸を予測します。

測定機器:測定機器:PMP-200G plus
測定項目

  • 血中の酸素の状態
  • 脈拍数
  • 体動
簡易検査

呼吸や血中の酸素の状態などで測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAPの対象となります。AHIが40未満であれば、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。CPAP療法後の治療効果判定の検査として行うこともできます。

測定機器:スターダスト
測定項目

  • 鼻の呼吸フロー
  • いびき
  • 胸若しくは腹の動き(呼吸努力)
  • 血中の酸素の状態
  • 脈拍数
  • 睡眠中の体位 等

閉塞型SASの治療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)とは

CPAP療法は、CPAP装置からホース・マスクを介して、処方された空気を気道へ送り、常に圧力をかけて空気の通り道が塞がれないようにします。

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)の効果

「よく寝た」という熟眠感が得られ、スッキリと目覚めることができます。
CPAP療法を適切に行うことによって、睡眠中の無呼吸やいびきが減少します。また、治療を継続することによって、眠気がなくなったり、夜間のトイレの回数が減ったりという、いわゆるSAS症状の改善が期待され、さらには降圧(血圧を下げる)効果の報告もあります。
CPAP療法は、眼鏡をかけていることと同じように、治療器を使用しない限り無呼吸は無くなりません。
また治療器を付け慣れるのに2~3ヶ月かかる場合もあります。

CPAP療法は、検査の結果が一定の基準を満たせば健康保険の適用になります。
その場合には、必ず定期的(月1回)に外来を受診していただきます。診察時に主治医と相談し、より良くCPAP療法を継続して頂くことが重要ですので、必ず外来にかかるようにしてください。

CPAP装置の医療保険システム
その他の治療法
口腔内装置による治療

口腔内治療とは、下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにするものです。口腔内装置の作成は、健康保険の適用になります。

手術による治療

気道閉塞の原因がアデノイド肥大や扁桃肥大などであった場合には、手術で取り除くことがあります。また、鼻閉を起こす鼻疾患は、CPAPや口腔内装置の治療を妨げるので、手術が必要となることがあります。

生活習慣の改善

生活習慣の改善だけでSASを治すといったことは困難ですが、他の治療と併せることによって軽減させることは可能です。また少しでも良い睡眠をとるために、眠りにつきやすい環境を整えることも必要です。

減量

肥満が原因の場合には、効果があります。4年間にわたり体重の変動とAHIの変動について観察した結果では、10%の体重の減少でAHIが26%減少したという報告もあります。
※Pappard PE,et al. JAMA 2000:284:3015-

体位・横向きに寝る

少しでも重力の影響を受けないように、体を横向きにして寝ると症状が軽減する場合もあります。

減酒

アルコールは、筋肉をゆるめる作用があるため、気道の閉塞が起こりやすくなります。また寝つきが良くなることもありますが、逆に夜中に目が覚めたり、浅い睡眠を増やしてしまう作用もあります。

睡眠障害とは

多忙な現代社会では、睡眠不足が大きな問題です。睡眠時間は、長くても短くても死亡リスクを高くするといった報告もあります。
睡眠障害にはSASだけでなく他にも多くの疾患があり、同じように眠気や多くの身体疾患に関連しています。睡眠関連疾患国際分類(ICSD-II)では、睡眠障害は90種類以上に分類されています。なかなか寝付けない方(入眠障害)には、精神性の不眠という可能性も考えられますが、間違った睡眠衛生が原因となっている場合もあります。その他にも、脚に不快な感覚が生じることで入眠障害を起こす"むずむず脚症候群"といった疾患もあり、薬による治療によって改善することができます。また"リズム障害"(通常の生活よりも朝早く目が覚める、朝起きることができないといった疾患)もあります。

SASはあらゆる睡眠障害の中で最も多く見られる疾患です。SASは十分に睡眠時間をとっているはずなのに、実際には睡眠による休息が得られていない疾患です。しかし検査を受け、正しい治療を行っていれば健康な人と同じ日常生活を送ることが可能です。
いびきや眠気が気になる方、ご自分の睡眠に不安を感じている方は、健康維持のためにもできる限りお早めにご相談ください。

資料提供:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン

トップ診療科紹介臨床検査部 簡易睡眠時無呼吸検査(SAS検査)