医療コラム・レポート

お役立ち医療コラムvol.6「地域に求められる良質な医療提供を」

立川隆光院長(泌尿器科)
徳洲会のグループ病院で「ダビンチ」を使った前立腺がんの
手術経験を重ね、2018年春、茅ヶ崎徳洲会病院の院長に就任。現在も外来診察を行なっています。
茅ヶ崎を拠点に、周辺地域の中核病院としての役割を担う「茅ヶ崎徳洲会病院」。2018年秋から手術支援ロボット「ダビンチ」を使用した前立腺がん手術が開始されました。

立川 隆光

立川 隆光たちかわ たかみつ院長

専門 泌尿器科、透析

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所属学会

日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本透析医学会専門医、ロボット手術プロクター(指導医)

ご挨拶

地域に密着した診療を心がけています。
前立腺等の泌尿器科疾患、腫瘍、結石、腎不全や透析等幅広い診療、手術等をおこなっています。

男性のがん罹患率で上昇を続ける”前立腺がん”手術支援ロボット「ダビンチ」で高精度・低侵襲を目指す

操作をする手元

今回導入された手術支援ロボットについて、泌尿器ロボット支援手術プロクター(指導医)でもある院長の立川隆光先生に、お話を伺いました。
「日本人男性のがん罹患(りかん)率が、今後1位になると予測される”前立腺がん”。より良質な医療提供のため、前立腺がんの外科的治(保険適用)に用いられる『ダビンチ』を新たに導入。これまでの手術と併せて対応します」

これまでの手術とは?

立体的に映し出されたイメージ画像

「従来の開腹手術や、腹腔鏡手術があります。大きく切開する開腹手術は、臓器を見たり触ったりすることが容易ですが、患者さんへの負担が大きくなります。数カ所の小さな切開で低侵襲の腹腔鏡手術は、執刀医と助手が長い柄の器具や小さなカメラなどを操作するため、高い技量や協調が要求されます」

ダビンチでの手術は?

執刀医は、3D画像を見ながら両手とフットペダルでダビンチを操作

「より安全に手術できるようロボットが執刀医をサポートします。使用することで、奥行きのある画像と人間の手首以上の可動域で、緻密な操作がしやすく、小さな傷口で済むので排尿機能などの早期回復が望めます。例えると、術者が小人になって体内で直接手術ができるような感覚です」

罹患者増加が予測される中、心強いですね。

「前立腺がんは、簡単な血液検査(PSA検査)で早期発見ができ、早期治療で根治が望めます。当院では、一時間以内にPSAの結果をお伝えでき、診断に必要な前立腺針生検も原則日帰りで行っています。ダビンチ手術となった場合、私も含めて泌尿器科の3人の医師が対応します。
なお2018年春から、ダビンチ手術での有効性や安全性が認められ、胃がんや婦人科治療など、保険治療の範囲が大幅に増えました。当院でも幅広い対応を視野にいれていきます」

手術支援ロボット「ダビンチ」とは

ロボット部・操作部・助手用モニターから構成される「ダビンチ」。ロボット部には、先端にメスなどを取り付ける3本のアームと内視鏡が装着され、執刀医は、操作部に映し出される内視鏡画像を見ながら遠隔操作を行います。

主なメリット

※手術支援ロボット「ダビンチ」が手術を行うのではなく、執刀医が操作します
  • 傷口が小さく、患者への負担を低減
  • 奥行きがある3次元の高精度拡大画像
  • 人間の手首以上の可動域
  • 手振れ補正により、手術精度が向上

湘南リビング2018.12.8号掲載